ジャミロクアイ『ヴァーチャル・インサニティー』のミュージックビデオでも有名なジョナサン・グレイザー監督の映画作品。
ホロコーストで悪名高いアウシュヴィッツ収容所に関連したストーリー、もちろんそれなりにヘビーな内容なんだろうなぁ…と予測して観に行った。そして、アカデミー賞で音響賞を受賞したということもあって、音楽好きとしては、何よりも音響面に興味津々だった……。
映画『関心領域』は、ユダヤ人についての歴史、そして一番にはホロコーストについて、つまりアウシュビッツ収容所での体験などについての知識がどのぐらいあるかで…、この映画ほど、鑑賞体験が大きく違ってくるものはないかもしれない…と思った…。そこで起こった出来事が、映像や言葉じゃなくて、音響という手段で表現された映画だったから……。
わたしの真ん前の席にいた若い女性、空いていた隣の席に倒れ込んでしまうぐらい何度も眠りこんでしまっていた…(正直なところ…寝てしまうのも理解はできるけど…)。
一番後ろの列の端に座っていたわたしの席から、数席離れたところに座っていた若い男性の二人組…ずっとポップコーンを食べたり、ドリンクを飲んだり…しゃべったり…と、何かしらずっと口が動いていた…。こっちの二人には…さすがにドン引きした…。この映画って…ポップコーン食べながら観るような映画かよっ!て、思わず心の中でつぶやいた……。
ホロコーストやユダヤ人についてよくわからない…っていう人たちがこの映画を観るとしたら…、できれば、その前にぜひ読んでみてほしい一冊の本がある。
ユダヤ人の心理学者ヴィクトール・フランクルが「心理学者、強制収容所を体験する」という題で、自身の体験記として書いた20世紀の名著と言われる『夜と霧』。
ここに書かれているようなアウシュヴィッツ等の収容所での出来事を、具体的に少しでも知っているのと知らないのとでは…、映画鑑賞中の状況は変わってくるだろうなぁ……とつくづく思う…
そこに徹底的にリサーチされ可能な限り忠実に再現されたアウシュヴィッツ収容所に響きわたっていた音、その音でそこで行われた地獄のような世界での暴力を表現したという音響が、大きく関わってくることに納得させられてしまった…。
視覚ではなく聴覚に訴えかけられてくることで、イメージが自分の中から沸き起こってきてしまう…。その効果によって、いろんなことを自分自身で考える余地…余白のようなものを与えられる感じがした…。
ジョナサン・グレイザー監督は、映画を観る人たちに、自身と収容所の壁一枚を隔てただけの場所で、普通に日常生活をおくるヘス一家とを重ね合わせて観てもらうことを意識してこの映画を製作したみたいだ…。このことを知って、監督がこの映画で何を伝えたいのか……少しだけ…わかるような気がした……。
そして、それは違うと言われるかもしれないけど…、
ハンナ・アーレントというユダヤ人政治哲学者のことを思い出した……。
彼女についての映画を観てもらえると、そう思う気持ちを理解してもらえるんじゃないかなぁ…と思う。
彼女の書いた取材記事が物議をかもすことになったのは、知る人ぞ知るっていうタイプの話だけど…、彼女の本の英題:『Eichmann in Jerusalem:A Report on the Banality of Evil』の『the Banality of Evil』:という部分は、日本でも『悪の凡庸さ』という言葉としてより知られているんじゃないかと思う…。
エリートであったとしてもアイヒマンは、強欲で出世欲が強くて、他人の状況を想像できる力がなく、自分自身で物事を考えて判断できないような思考停止の状態で、ヒトラーのような支配者の狂った指示にでも簡単に従ってしまい、恐ろしいような悪事をも平然とやってのける……というような内容だった……と、わたしは認識している……。
ニュースなんかを見て、第二次世界大戦時のアイヒマンみたいな人たちって…今の時代にも、現在進行形でどこにでもいるよなぁ…とつくづく思うのは、わたしだけじゃないみたいだ……。ロシアや北朝鮮もそうなんだろうなぁと思うし、日本だって、冤罪事件が起こってるのとかも…同じことなんだろうなぁ…って考えさせられる……。
数年前に一度、日本語訳『イェルサレムのアイヒマン―悪の陳腐さについての報告』を、図書館で借りたのだけど…まだ最後まで読めていない……。新版が出ているみたいなので、新版の方で最後まで読んでみたいなぁ…と思っている…。
ナチスは、かつてアウシュヴィッツ周辺の制限区域のことを婉曲的に『Interessengebiet:ドイツ語』、つまり、『The Zone of Interest:英語 』とよんでいたらしい。それが、この映画の題名になっていることがとても興味深い。
苦しむ人々がいるという現実に対して、無関心でいたり、見て見ぬ振りをするのか…それともしないのか…、それは、個人の人間性と大きく関わってくるということが、映画の中で対照的に表現されている。自分自身が無関心な態度だったり、見て見ぬ振りできる人間になってしまわないように……そうなってはいけない…とつくづく考えさせられる…。
輸入業関連の仕事をしていたわたしは、出張先等でユダヤ系の人たちと知り合う機会が多かった。ユダヤ系の知人友人たちもいる。だけど、彼らからアウシュビッツの話を直接的に聞いたことはない。まだ、ない…ってだけなのかもしれないけど…。ホロコーストの話をしたことすらない…。これからすることがあるかもしれないけど…。
ヨーロッパ系の人たちだと自分がユダヤ系であることすら、ある程度親しい関係になるまで口にしなかった人たちも多い…。名前でユダヤ系だとすぐにわかる人たちもけっこう多くて、そんな場合にはわざわざ言う必要もなかったりするけど…。
私の知っているユダヤ系の知人友人たち、普段の彼らはとてもパワフルでユニークな人が多い。ユーモアがあってよくジョークで笑わせてくれる。ホロコーストという歴史の暗黒面を思い出させるような暗くて重い空気を感じさせるようなことはない…。
ただ…、彼らの祖父母、両親の話になると状況は変わってくる……。
はっきりとしたことは口にしないけど…、彼らの祖父、祖母、父、母の境遇の話になると、移住や養子縁組に関連した話を耳にすることも多い。それは、やっぱりホロコーストに関連しているのかなぁ…という考えが、さすがに思い浮かんできてしまう…。もし、わたしがそのことについて質問したら、おそらく教えてくれるだろうとは思う…。誰もが知っているような人間の歴史の一つなのだから……。
ナチスは、かつてアウシュヴィッツ周辺の制限区域のことを婉曲的に『Interessengebiet:ドイツ語』、つまり、『The Zone of Interest:英語 』とよんでいたらしい。それが、この映画の題名になっていることがとても興味深い。
苦しむ人々がいるという現実に対して、無関心でいたり、見て見ぬ振りをするのか…それともしないのか…、それは、個人の人間性と大きく関わってくるということが、映画の中で対照的に表現されている。自分自身が無関心な態度だったり、見て見ぬ振りできる人間になってしまわないように……そうなってはいけない…とつくづく考えさせられる…。
輸入業関連の仕事をしていたわたしは、出張先等でユダヤ系の人たちと知り合う機会が多かった。ユダヤ系の知人友人たちもいる。だけど、彼らからアウシュビッツの話を直接的に聞いたことはない。まだ、ない…ってだけなのかもしれないけど…。ホロコーストの話をしたことすらない…。これからすることがあるかもしれないけど…。
ヨーロッパ系の人たちだと自分がユダヤ系であることすら、ある程度親しい関係になるまで口にしなかった人たちも多い…。名前でユダヤ系だとすぐにわかる人たちもけっこう多くて、そんな場合にはわざわざ言う必要もなかったりするけど…。
私の知っているユダヤ系の知人友人たち、普段の彼らはとてもパワフルでユニークな人が多い。ユーモアがあってよくジョークで笑わせてくれる。ホロコーストという歴史の暗黒面を思い出させるような暗くて重い空気を感じさせるようなことはない…。
ただ…、彼らの祖父母、両親の話になると状況は変わってくる……。
はっきりとしたことは口にしないけど…、彼らの祖父、祖母、父、母の境遇の話になると、移住や養子縁組に関連した話を耳にすることも多い。それは、やっぱりホロコーストに関連しているのかなぁ…という考えが、さすがに思い浮かんできてしまう…。もし、わたしがそのことについて質問したら、おそらく教えてくれるだろうとは思う…。誰もが知っているような人間の歴史の一つなのだから……。
スピーチの最後に映画の中で暗闇で白く光る姿で描かれていた少女アレクサンドラについて言及している。そして、彼女のメモリーとそのレジスタンス活動に捧げるという言葉で締めくくられている…。
あの当時のあの場所でのアレクサンドラの行動は、命懸けとも言えるような行動だっただろうなぁと思った…。家族以外は誰も知らなかったんじゃないかと思えるような…アレクサンドラの無関心とは真逆の勇気ある行動。本当の徳とはこういうことをいうんだと思う。
そして…、ジョナサン・グレイザー監督自身も、アレクサンドラと同じように、無関心でいることを選ばなかった。
監督は覚悟していただろうけど……
同じユダヤ系やユダヤ人の人たちから、多くの反感をかうことになってしまった。ハリウッドの著名人を含む1000人以上ものユダヤ系やユダヤ人のひとたちから、公開書簡等によって抗議を受けるような結果となった…。
オスカー賞受賞時に、後から現れてまるで呼ばれてもいないのに勝手にノコノコとステージについて上がっていったようにも見えてしまう…億万長者として有名なプロデューサーのブラヴァトニック氏も、ステージ上では拍手していたくせに……後から監督への抗議を表明した。
その一方で、ジョナサン・グレイザー監督のスピーチへの共感を表明するハリウッドの著名人を含むユダヤ系やユダヤ人の人たちが、少数だった当初より日に日に増えていき、今では490人以上になるようだ。
そして、忘れてはいけないのが、今回のジョナサン・グレイザー監督のオスカー賞でのすばらしいスピーチに影響を与えたんじゃないかとも思えるような『関心領域』のプロデューサー、ジェームズ・ウィルソン氏の2024年2月の英国アカデミー賞でのスピーチ。
彼は、『関心領域』を観た友人が彼へ宛てた内容について紹介している。
「映画を観た後、友人は、わたしたちが人生で壁の向こう側を見ないために築く壁について考えずにはいられなかった。それらは新しい壁じゃない、昔からずっとあるし、ホロコーストのためにできて、その間だけあったものじゃない。そんな壁の向こう側を見ようとしないような状況が、今、さらにひどくなっているように見える。わたしたちは、マリウポリやイスラエルで殺されている罪のない人たちについて考えるのと同じように、ガザやイエメンで殺されている罪のない人たちについても気遣うべきだ。」というようなことを言っている。
そして、友人に映画を観てそのように気づいてくれたこと、わたしたちに問いかけ、考える場を与えてくれたことに感謝を述べている。
わたしは、仕事の関連で、少なくないユダヤ系やユダヤ人の人たちと、そして、パレスティナ系やパレスティナ人の人たちとも交流する機会に恵まれた…。だから、現在の争いが起こったバックグラウンドに関しての知識について、多少はあると思っている。それは、もとはと言えば国連もからんでいる。つまり、多くの国が関係している…。
監督たちと同じように勇気を持って行動を起こすユダヤ系やユダヤ人の人たちも多くいる。イスラエルのネタニヤフ政府による軍事行動なんかのせいで、反ユダヤ主義が増えないでほしい…。ハマスのテロ行動のせいだけで、すべてのパレスティナの人たちのことをテロリストみたいな目で見ないでほしい…。
海外のニュースでは、パレスティナの人たちのために、そして自分たちの信じる正しいことのために声を上げるユダヤ系やユダヤ人の人たちの行動が報道されている。
ヴィクトール・フランクルが人間性を尊重したように、わたしも人種だけでその人個人を判断しないようにしたい。それは、ロシア人や中国人、北朝鮮人…いかなる国や見た目や人種の人たちに対して、そうしたいと思う。自国の政府に共感していない人たちもたくさんいるのだから……。
イスラエルやアメリカ以外にも、世界中の多くの地域にユダヤ系やユダヤ人と言われる人たちが暮らしている。その人たちは、肌の白い人たちもいれば、黒い人たちもいる。そして、日本人と同じ黄色人種の人たちもいる…。
ある時…多彩な人種がいて、不思議に思ったことがあった…。
そして、ユダヤ人の定義の一つが、ユダヤ教を信仰する人やその人たちの子孫のことで、以前には、ユダヤ教に改宗すれば、どんな人種の誰でもがユダヤ人になれた…ということを知って驚愕したことを…今でも時々鮮明に思い出すことがある……。
さらに”Nature”誌関連のウェブサイトの記事で、アシュケナージ系ユダヤ人のDNAの研究によって、ユダヤ人の母方の系統がヨーロッパ起源である可能性が浮上…というような内容を読んだときは…、「えっ?じゃあ、祖国パレスティナへの帰還の熱望によってのイスラエル建国って、その意味どうなるの?」と思わずにはいられなかった……。
ジョナサン・グレイザー監督が、映画を観る人たちに望んでいるのは、ヘス一家に自身を重ねて観てほしいということだ。
映画を観終わった後にこのことを知ったわたしは、ヘス一家ではなくて…レジスタンス側の少女アレクサンドラの立場に自身を重ね合わせていた…。そして、こんな厳しい状況下でも、彼女のように曇りのない目で何が正しいのか判断できるんだろうか…、命の危険を犯してまでも、苦しむ人たちに手を差しのべることができる勇気を持ち続けることができるんだろうか……と自問自答しながら映画を観ていた……。
自分たちが幸せだったら…すぐそばの壁の向こう側で苦しむ人たちがいようが自分たちには関係ない…。ホロコーストはさすがにスケールが違うけど、隣や近所の人が苦しんでいることに気づいていても、家の壁の向こう側のことなんて関わりたくないと思うのは特別なことじゃない誰にでもありそうなことだ…。でも、結局、そういう小さなことの積み重ねが、ホロコーストのようなスケールの地獄とも言える状況が生み出されることを許してしまうのかもしれない……。
パレスティナとイスラエルの争い、台湾をめぐってのアメリカと中国の緊張関係、ウクライナとロシアの戦争、そのロシアと連携を強める北朝鮮……。まだまだ他にも世界中に問題はある……。
日本にとっては…自分たちにとっては他人事だ…なんて、無関心を続けていたら…、気づいたときには、第3次世界大戦が始まっていた……なんてことになってしまわないように、自分にはまだ知ることのできていない壁の向こう側について、向き合う準備を始めるべきなんじゃないかと思ってしまうような世界情勢のニュースにますます不安になる今日この頃……
見かけや人種、国の違いだけで偏見を持って、個人の人間性を判断しないように心がけていきたい……
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まだ観ていないという方は、この機会に観てみてはいかがでしょうか?

出典:トップ画像は、映画『関心領域』オフィシャルサイトよりお借りしました。
By Komame


