☆ 連載『The Foolish Dragon』☆ ショートストーリー 「世界の”Haruki Murakami”」

連載『The Foolish Dragon』

〜 世界の”Haruki Murakami”の巻 〜

夏が過ぎ、
ずいぶんとすごしやすくなった季節——

竜之助と龍平が
西日の差し込む居間で本を読んでいる。

竜之助:おい龍平〜、何読んでんの?

龍平 :えっ、あぁ〜、
    村上春樹の『海辺のカフカ』

竜之助:エエエーーーッッッ?!
    そんなん読むのーーー???

龍平 :うん。
    だって世界の『Haruki Murakami』
    今年こそノーベル賞か——って、
    TVでやってたし、

    図書館行ったら、お薦めコーナーも
    『村上春樹フェアー』やったし……、
    この本が真ん中に飾られてたから
    借りてみてん。

竜之助:ヘェェェ〜〜〜〜〜〜〜!
(心の声:オレでもまだ読んでへんのに〜〜〜
    
    で、おもしろい?

龍平 :うん。わりとおもしろい。
    でも……
    俺にはまだちょっと
    わからへんとこも多いねんなぁ……。

竜之助:ヘェェェ〜〜〜、そうなんや〜〜〜!

龍平 :竜さん、
    村上春樹の本って読んでへんかったん?

竜之助:う〜〜〜ん、
    デビュー作しか
    読んだことないねんなぁ……。

龍平 :ふぅ〜〜〜ん。何で?

竜之助:えっっ、あぁぁ〜〜……
    
    文章うまいし 
    スラスラ読めんねんけど……、
    内容がオレには
    あんまり合わへんかってんなぁ…………。

ローテーブルの上に置いてある、
龍平が借りてきた『海辺のカフカ(上)』を
まじまじと見ている竜之介——
    
龍平 :
俺、下巻もうすぐ読み終わるし
    それ、読んでみたら。

    たぶん、竜さん、
    その本好きやと思うで……。

竜之助:えっ、何で???

龍平 :旅の話やし、不思議系やしかなぁ……。

竜之助:へぇ〜、不思議系旅行記もんかぁ……。
(心の声:オレの得意な……
     いや、大好きなヤツやん♡)
 
    それやったら、
    おもろいかもしれへんなぁ。

それから数時間後の居間——

竜之助は『海辺のカフカ』を夢中で読んでいる。

龍平 :エッッッ?
    竜さん、まだ読んでんの?!

竜之助:あぁ〜、
    ちょっと今話しかけんといてくれる?
    オレ、今、
    『甲村図書館』の中にいるから——。

龍平 :はっ?『甲村図書館』???
    あぁ、
    『海辺のカフカ』の『甲村図書館』
    のことかぁ……。

竜之助:そう!!!

龍平 :……
(心の声:やっぱ、ハマったか……

1週間後の居間——

向かい合ってカレーライスを食べる二人。

竜之助:龍平、おもろかったわ〜、あの本!

龍平 :あぁ、もう全部読んだ?

竜之助:うん。一気読みやったわ〜。

龍平 :あぁ、やっぱり。

竜之助:何でわかったん? 
    オレがあの本、好きって——
    
    さすがっ、龍平ちゃん!

龍平 :あぁ……

    —— エロ♡いから。——

竜之助:…………
(心の声:さすが……龍平ちゃん……


—— 今日のところは、これでおしまいっ! ——


   

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