〜 世界の”Haruki Murakami”の巻 〜
夏が過ぎ、
ずいぶんとすごしやすくなった季節——
竜之助と龍平が
西日の差し込む居間で本を読んでいる。
竜之助:おい龍平〜、何読んでんの?
龍平 :えっ、あぁ〜、
村上春樹の『海辺のカフカ』。
竜之助:エエエーーーッッッ?!
そんなん読むのーーー???
龍平 :うん。
だって世界の『Haruki Murakami』
今年こそノーベル賞か——って、
TVでやってたし、
図書館行ったら、お薦めコーナーも
『村上春樹フェアー』やったし……、
この本が真ん中に飾られてたから
借りてみてん。
竜之助:ヘェェェ〜〜〜〜〜〜〜!
(心の声:オレでもまだ読んでへんのに〜〜〜)
で、おもしろい?
龍平 :うん。わりとおもしろい。
でも……
俺にはまだちょっと
わからへんとこも多いねんなぁ……。
竜之助:ヘェェェ〜〜〜、そうなんや〜〜〜!
龍平 :竜さん、
村上春樹の本って読んでへんかったん?
竜之助:う〜〜〜ん、
デビュー作しか
読んだことないねんなぁ……。
龍平 :ふぅ〜〜〜ん。何で?
竜之助:えっっ、あぁぁ〜〜……
文章うまいし
スラスラ読めんねんけど……、
内容がオレには
あんまり合わへんかってんなぁ…………。
ローテーブルの上に置いてある、
龍平が借りてきた『海辺のカフカ(上)』を
まじまじと見ている竜之介——
龍平 :俺、下巻もうすぐ読み終わるし
それ、読んでみたら。
たぶん、竜さん、
その本好きやと思うで……。
竜之助:えっ、何で???
龍平 :旅の話やし、不思議系やしかなぁ……。
竜之助:へぇ〜、不思議系旅行記もんかぁ……。
(心の声:オレの得意な……
いや、大好きなヤツやん♡)
それやったら、
おもろいかもしれへんなぁ。
それから数時間後の居間——
竜之助は『海辺のカフカ』を夢中で読んでいる。
龍平 :エッッッ?
竜さん、まだ読んでんの?!
竜之助:あぁ〜、
ちょっと今話しかけんといてくれる?
オレ、今、
『甲村図書館』の中にいるから——。
龍平 :はっ?『甲村図書館』???
あぁ、
『海辺のカフカ』の『甲村図書館』
のことかぁ……。
竜之助:そう!!!
龍平 :……
(心の声:やっぱ、ハマったか……)
1週間後の居間——
向かい合ってカレーライスを食べる二人。
竜之助:龍平、おもろかったわ〜、あの本!
龍平 :あぁ、もう全部読んだ?
竜之助:うん。一気読みやったわ〜。
龍平 :あぁ、やっぱり。
竜之助:何でわかったん?
オレがあの本、好き♡って——
さすがっ、龍平ちゃん!
龍平 :あぁ……
—— エロ♡いから。——
竜之助:…………
(心の声:さすが……龍平ちゃん……)
—— 今日のところは、これでおしまいっ! ——

