〜 想い出の読書感想文の巻 〜
楽しかった夏休みも
あっという間に終わってしまい——
何とか必死で終わらせた
夏休みの宿題を無事提出し、
ホッと一息ついていたある日の授業中。
教室の真ん中の一番前の席には、
本人に悪気はないが
問題児の竜之助が、
いつものようにボーっとすわっている。
みんなが問題を解いているあいだ——
担任の先生が
竜之助の真ん前で仁王立ちしている。
竜之助が、
自分が見られていることに気づくと——
しゃがんで、
竜之助の顔の真ん前に
顔を近づけてきた……。
それから、
集中している他の生徒たちの
ジャマにならないように、
小声で話しかけてきた。
——ビクっーーー!とするような
睨みの効いた怖い顔で——
先生 :夏休みの宿題の読書感想文やけど……
竜之助:えっ?
(心の声:なんでェ〜〜〜???
先生、なんか怖い〜〜〜!!!)
先生 :アレ……
竜之助:あっ……はい〜………
先生 :『あとがき』だけ読んで
書いたでしょ!!!
竜之助:………
は……い…………
(心の声:エーーーッ?!
な・ん・でーーー?!
わ・か・っ・た・んーーー?!)
先生 :そんなん、ちゃんとわかるよ!!!
竜之助:ハイっ………
(心の声:ギャーーーっ!
心の声まで、
バ・レ・て・るーーー?!
コ・ワ・イよーーー!!!)
先生 :やりなおしやで!!!
竜之助:ハイっ!!!
(心の声:エーーーッ?!
マ・ジ・でーーー?!)
先生 :ちゃんと本読んでから、
感想文書けたら、
職員室まで持ってきなさい!
それまで待ってるから!
わ・か・っ・た?
竜之助:………はい…………
(心の声:ギャーーーっ!
宿題、増・え・たーーー!!!)
恐怖で涙目になって
うなだれる竜之助のことなど気にもせず、
何ごともなかったかのように
再び授業を始める先生だった……。
☆☆☆ ☆ ☆☆☆
何かと、
——乙女趣味な竜之助——
カワイイものが大好きだった。
お気に入りの本は
『からすのパンやさん』と
『スヌーピー』のレシピ本シリーズ。
『赤毛のアン』と
『メリー・ポピンズ』の
シリーズが愛読書だった。
課題図書に指定されていた、
男の子3人がデッカク描かれた
『それいけズッコケ三人組』の表紙に、
拒否反応をおこしてしまったのだ。
——自分が読みたい本だけ、読みたい!
人から言われた本を読むなんてイヤや!!!——
竜之助の
ズルい手を使った
ささやかな抵抗は、
一瞬で粉砕されたのだった……。
あの『夏休みの読書感想文事件』は、
竜之助の今でも忘れることのできない……
小学生時代の
——想い出のハイライトシーン——
となっている。
大人になった竜之助は、つくづく思う——
あの、担任の先生は、
恐ろしくスルドイ人だった……と、
でも、とてもいい先生だった……とも——
☆☆☆ ☆ ☆☆☆
あれから
歳を重ねた今の竜之助は、
図書室で別世界への逃避目的で読んでいた
小学生時代の乙女な愛読書ではなく……、
すっかり、
内容を忘れてしまっている
『それいけズッコケ三人組』を、
また、読んでみたいと思った……。
竜之助は、図書館へと向かった——
——チョット違った意味で……
忘れられない一冊となった、
『それいけズッコケ三人組』を借りるために——
—— 今日のところは、これでおしまいっ! ——



コメント